学校教員や病院の実習指導者の方にとって、“臨地実習指導”には、さまざまな悩みや課題が尽きないのではないだろうか。
——どのように学校・病院間の連携を行えばよいか?
——いまどきの学生の個別性をふまえて指導するには?
——実習の場面で学生に“看護”を伝えるためには?
そんな悩みを持つ学校教員や、病院の実習指導者などを対象とした日本看護学教育学会主催の2018年度 臨地実習指導研修会「今、改めて臨地実習指導とは(基礎編)」が、3月2〜3日の2日間にわたり東京にて開催された(大阪では3月9〜10日に実施)。
 
 この研修会は、講義をメインとした研修会とは異なり、グループワークが多く、参加者自らが課題解決のために思考できる構成になっているのが特徴だ。そこでは、自らの課題を明確にする力や、講義やヒントを受けてその課題の解決策を練る問題解決思考、チームコミュニケーション力などがカギとなる。
 
 初日。まずは7、8人程度のグループにわかれ、日ごろの臨地実習指導に関する課題を共有した。なかでも今回の研修会で目立った課題は、「学校と病院との連携・調整」、「(教員・指導者からみて)主体性がないようにみえる、あるいは患者さんへの関心が低いようにみえる学生への指導方法」、「看護記録の書き方に関する指導方法」に関するものであった。
 
 次に行われたのは、定廣和香子氏(札幌市立大学)による講義。テーマは「実習指導の基礎知識」であり、看護基礎教育カリキュラムと看護学実習の関係性や、看護学実習における目標設定の必要性などが語られた。講義の後、参加者は再度グループワークを行い、講義内容をうけてもなお解決できない課題だけを残し、それらを全グループで集約。テーマごとに分類・整理して1日目の研修は終了した。

2日目は、1日目に解決できなかった課題に対する、ファシリテーターによるヒントから始まる。経験豊富なファシリテーターから、普段は聞くことのできない他学校での取り組みを聞き、参加者の顔は真剣そのもの。学生を思考停止にさせない発問の工夫や、学生にとっての主体性の表し方や教員によるその解釈いまどきの学生に対するアプローチの秘訣学生の個別性をふまえた指導方法など、さまざまなファシリテーターのヒントに対し、思わず参加者から拍手が起こる場面もあった。その後、ヒントを受けて3度目のグループワークによって、残った課題の解決策を模索していった。

研修会の最後は、大池美也子氏(国際医療福祉大学)による講演で締めくくられる。歯に衣着せぬ大池氏のユーモアあふれる実習教育エピソードに、終始会場は笑いに包まれた。どのエピソードも、これまで大池氏が培ってきた経験がものをいう、職人的なコミュニケーションのワザともいえる要素がつまった内容であった。
 
 この研修会は、参加者のこれまでの経験や特性により、挙がってくる課題は異なり、その解決方法を検討していくのも参加者自身やそのグループが主役となる。1グループにつき1人のファシリテーターがつき、参加者はいつでもファシリテーターに質問をしたり意見を共有し合ったりすることができるのもこの研修会の強みだ。普段からかかえている課題をファシリテーターやグループメンバーと共に解決していくこの研修会は、各々の学校で使える実践的なヒントを参加者に与えてくれるのではないだろうか。臨地実習指導に悩む教員の先生がたは、ぜひこの場で同じ悩みをもつ教員との交流や、日ごろの課題解決のために研修会に参加してみてはいかがだろう。(看護編集部)
 

日本看護学教育学会ホームページ

http://jane-ns.org/
 

本研修の主催者・ファシリテーター一覧

理事長 佐藤紀子氏(東京慈恵会医科大学)
副理事長 安酸史子氏(関西医科大学)
理事・ファシリテーター 森田夏実氏(東京女子医科大学)
教育活動委員長・ファシリテーター 前田ひとみ氏(熊本大学大学院)
総合司会・ファシリテーター 野崎真奈美氏(順天堂大学)
総合司会・ファシリテーター 山口みのり氏(静岡県立大学)
講演講師・ファシリテーター 大池美也子氏(国際医療福祉大学)
講義講師・ファシリテーター 定廣和香子氏(札幌市立大学)
ファシリテーター 秋元恵子氏(倉敷中央病院)
ファシリテーター 池西靜江氏(Office Kyo-shien)
ファシリテーター 石束佳子氏(京都中央看護保健大学校)
ファシリテーター 服部美穂氏(人間環境大学)
ファシリテーター 古都昌子氏(札幌市立大学)
ファシリテーター 道屋純子氏(蕨戸田医師会看護専門学校)
ファシリテーター 山口直巳氏(豊橋創造大学)
ファシリテーター 水戸優子氏(神奈川県立保健福祉大学)