看みえ4立ち読み
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●手術部位感染(SSI):surgical site infection ●メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA):methicillin-resistant ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■●手術の腸管操作による腸管の癒着や捻転によって,●麻酔薬・鎮痛薬の影響や活動制限あるいは不動,術後の疼痛により十分な呼吸と喀痰ができず,気道分泌物が貯留し,気道を閉塞する.それによる肺の含気量低下で肺胞が虚脱すると無気肺を生じる.●気管挿管により口腔内や回路内の細菌が気道内に侵入すると,細菌は貯留した気道分泌物内で増殖し肺炎を生じさせる.飲食開始後の誤嚥や胃内容物の逆流も肺炎の原因となる.危険因子■高齢 ■嚥下機能低下 ■呼吸機能低下 ■肥満■喫煙 ■術後離床遅延●便秘や過度の腸蠕動による吻合部の緊張や,吻合部の炎症・浮腫により,つなぎ合わせた臓器が癒合しないと,縫合不全となる.吻合部から腸管内の消化液や内容物が漏出するおそれがある.危険因子■高齢 ■肥満 ■低栄養 ■血液凝固異常 ■貧血●手術創や手術部位からの出血量が多いと,心拍出量●消化管手術中は,腸内細菌の漏出により無菌操作を●麻酔の影響による腸蠕動運動の低下により,腸管運●直腸切除術後,直腸貯留機能の低下や括約筋,肛●様々な要因により,意識混濁や見当識障害,幻視,●術中からの不動で下肢静脈血がうっ滞したり,手術侵襲に伴う血管内皮細胞の障害によって血液凝固能が亢進することで,血栓傾向となる.血栓が静脈を閉塞すると,深部静脈血栓症を生じる.さらにその血栓が血流に乗って肺動脈を閉塞すると,肺塞栓症を生じる.危険因子■術後離床遅延 ■血液凝固異常 ■肥満■喫煙 ■悪性腫瘍 ■妊娠 ■脱水●麻酔薬の使用や,術中・術後の血中電解質の乱れによって,心筋細胞の脱分極異常やリズムの伝導異常をきたし,不整脈を生じる.危険因子■高齢 ■心疾患の既往のある患者■低酸素血症 ■脱水術前に術後合併症を全てリスク型問題として挙げる必要はありません.患者さん特有の危険因子があり問題が起こる危険性が高いものを問題として挙げます.一方,患者さん特有の危険因子がない問題は,クリニカルパスや標準看護計画で対応しましょう.一般的な手術で起こり得る合併症呼吸器合併症(無気肺,肺炎など)術後出血が減少し,循環動態にも影響する.危険因子■血液凝固異常(抗凝固薬の内服)麻痺性イレウス動が麻痺する.危険因子■便秘傾向  ■長時間の麻酔■術後離床遅延術後せん妄異常行動,睡眠障害などが一過性に出現する.危険因子■高齢 ■強い不安 ■認知症の既往■視聴覚障害 ■鎮痛薬や鎮静薬使用■電解質異常 ■脱水 ■環境の変化■多くのラインやカテーテルの挿入 ■術後離床遅延深部静脈血栓症・肺塞栓症不整脈消化管手術で高リスクとなる合併症腸管の通過障害を生じる.危険因子■開腹手術後■大腸全摘術などの剝離の多い手術■急性虫垂炎による高度の炎症手術部位感染(SSI)行えないため,他部位の手術と比べ,術創部や腸管,体腔内で腸内細菌を原因菌とした感染が生じやすい.危険因子■高齢 ■糖尿病 ■低栄養 ■肥満 ■喫煙 ■MRSA感染 ■免疫抑制薬やステロイドの長期使用直腸癌手術で高リスクとなる合併症門挙筋の損傷により下痢や排便回数が増加する.※事例のAさんの場合は直腸切断術とストーマ造設を行うため,上記の原因では,排便障害は起こらない.ストーマ合併症を生じた場合,排便障害となることがある.腸閉塞縫合不全排尿・性機能障害排便障害※268■術後合併症●術後に生じる主な合併症の病態と,それらを発症しやすい患者さんの危険因子(リスク因子)を示す.経口栄養剤●直腸付近の術操作によって,骨盤神経や下腹神経の損傷があると,排尿障害や勃起障害,射精障害をきたす.

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