kanmie1_WEB立ち読み_181106
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●入浴は身体に様々な作用を及ぼします.メリットになることもあれば,デメリットになることもあるため,作用を把握したうえでケアを行うようにしましょう.次に主な作用を示します.●水中では浮力によって関節への負担が軽減するため,関節可動域訓練などのリハビリテーションに適している.●静水圧が末梢血管のポンプ機能を●腹部にかかる静水圧により横隔膜が挙上し,また胸部にかかる水圧が胸郭の動きを制限することで呼吸が抑制される.●温熱作用により血流がよくなる.疼●42℃以上の温度になると,交感神経が刺激され,心拍数や血圧の上昇を招く.●上記の作用のうち,静水圧作用と浮力作用は湯につかることで生じるものです.このためシャワー浴や清拭〔p.152〕では●適切なケアを選択するために,病態と患者さんのセルフケア能力をアセスメントすることが重要となります.また実施するケアが決まったとしても,患者さんの安全・安楽や,自立を阻害しないことを考え,介助のレベルを決定しましょう(プライベートゾーンは自身で洗ってもらう,少しの時間なら坐位がとれるなど).■入浴の作用清潔ケア清潔ケア/入浴・清拭♪大大高大小小低小ただし特殊浴槽〔p.150〕を用いると,身体機能が低くても入浴可能です.身体機能の低下や治療上の理由などで,入浴ができない患者さんには入浴介助や清拭を行う必要があります.入浴・清拭は清潔保持という目的だけでなく,全身を観察するよい機会にもなります.特に入浴は様々な動作の組み合わせであり,患者さんの身体に及ぼす影響も大きいため,安全で安楽な実施ができるように注意しましょう.温熱作用のみが働きます.■入浴の適応と患者さんのアセスメント●入浴は爽快感が得られやすいですが,体力消耗が大きく,静水圧作用などにより循環器・呼吸器への負担も大きいケアです.一方,シャワー浴や清拭などは入浴に比べて爽快感は少なくなりますが,体力,循環器・呼吸器への負担が少ないケアです.■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■呼吸抑制入 浴温熱作用痛緩和などの効果がある.アセスメント項目体力●衰弱はないか循環器・呼吸器の機能●血圧は高くないか●呼吸困難がみられないか身体機能●麻痺や拘縮はないか●歩行はできるか清潔ケア/入浴・清拭静水圧作用水圧横隔膜静脈還流量⬆補助し,心臓への還流量が増大する.ケアの種類と特徴ケア方法ケアの影響体力消耗循環器・呼吸器への負担要求される身体機能爽快感浮力作用シャワー浴清 拭(全身または部分)監 修鈴木小百合143入浴・清拭

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