こんにちは、メディックメディア編集部です。
今回は、実習でおなじみ「退院指導パンフレット」の作り方を紹介します!
受け持ち患者さんがもうすぐ退院……
実習で糖尿病の患者さんを受け持った看護学生メディ子。退院を来週に控え、退院指導を行いますが、なにやら困ったようすです。

患者さんの役に立つ退院指導パンフレットを作るには、どうしたらいいのでしょうか……?
退院指導パンフレットってなに??
簡単に例えると、患者さんの退院援助のために作る資料のことです!
退院後に自宅に戻ってから、入院前とまったく同じように過ごせる患者さんは多くありません。自宅では、看護師が病院で実施していたケアを患者さんや家族が行ったり、医療機器を自己管理したりしなければなりません。
そこで、退院指導では、退院後の生活の注意点を説明し、患者さんが自宅でも必要な処置を行えるよう指導していきます。その際、患者さんの状況や理解度に応じたパンフレットを作成することがあります。
・看護師自身も患者さんに伝えたい情報を整理できるため、重要なことを伝え忘れずに済む
患者さんが自身の疾患について深く理解し、退院後も体調と向き合えるようサポートしましょう。
それでは、実際に退院指導パンフレットを作っていきましょう!
STEP① 退院指導パンフレットに載せる内容を決めよう
退院指導パンフレットの内容として、患者さんが日常生活を送る際に注意すべき点や、退院後も継続して行うケアの方法などを、自宅でも実践できるようにまとめることが多いです。
・尿失禁がある患者さんに向けた、骨盤底筋トレーニングの方法
・食事療法が必要な患者さんに向けた、食事指導
患者さんが安心して日常生活を送るためには、どんな目的で、どんな内容を伝えればいいでしょうか? 看護目標を踏まえて考えてみましょう。
・患者さんが退院後の生活で不安に思っていることはありませんか?
・手技や服薬など、看護学生から見て心配なことはありませんか?
・改善したほうがいい生活習慣はありませんか?
上記の例とヒントをもとに患者さんが抱えている問題に対して、どうしたら改善できるかを模擬患者Aさんの事例をみて考えてみましょう!
模擬患者Aさんの事例
Aさん(51歳、男性)
身長:170cm 体重:80kg BMI:27.7
営業職で単身赴任中。家で食事は作らず、昼食は丼ものやラーメンなど、夕食はコンビニ・スーパーの惣菜で済ませている。毎日、缶チューハイ(アルコール度数9%)を500mL飲んでいる。
2型糖尿病と診断され、教育入院中。インスリン手技の獲得はできている。

今回は、Aさんが自炊をしないことと飲酒を続けたいという発言に着目しました。
Aさんが自分自身の能力に合わせて無理なく食事療法が続けられるように、外食やできあいの惣菜を活かした献立や、Aさんが持っている調理器具で簡単に作れるレシピの紹介、飲んでもよいお酒の量を紹介するパンフレットを作ることにしました。
STEP② 情報を集めよう
パンフレットに載せる情報は、根拠がなければいけません。教科書や本、雑誌など、出典元が信頼できるものを活用して情報収集しましょう。インターネットやSNSの情報は、根拠が不明なものもあるため、それが本当に正しい情報かどうか確認が必要です!
模擬患者Aさんの事例
今回は『レビューブック2023』を使って調べていきます。Aさんの献立を考えるために必要な摂取エネルギーやPFCバランス(炭水化物・タンパク質・脂質のバランスのこと)などを調べてみました。

重要な情報がコンパクトにまとまっていて、調べ物をする際の導入にもぴったりです。困ったときには『レビューブック2023』を開いてみると、ヒントが見つかるかもしれません。
STEP③ 個別性を出してみよう
STEP②で集めた情報に、患者さんの情報を加えることによって、掲載する情報をアレンジしていきましょう。患者さんが退院後の自分の生活をイメージできるよう、なるべく具体的に書くことが個別性を出すポイントです。
・日常生活で注意したほうがいいことはありませんか?(例:感染予防など)
・患者さんのライフスタイルに合っていますか?(例:年齢、仕事、家族構成、住環境など)
模擬患者Aさんの事例
『レビューブック2023』で調べた摂取カロリーやPFCバランスに合わせて、Aさんのよく使うコンビニや飲食店のメニュー、簡単なレシピのおかずなどで献立を考えていきます。Aさんの自宅キッチンの様子(持っている調理器具や、常備している調味料など)も聞いておくとよいですね。


STEP④ パンフレットの大きさ・形を決めよう
載せる内容が決まったら、内容や使用場面に応じて、パンフレットの大きさや形を決めていきます。


STEP⑤ 実際に作ってみよう
パンフレットを作成する際は、患者さんが読みやすいようにデザイン面でも工夫をしてみましょう。
デザインのヒント

模擬患者Aさんの事例
今回はA3の用紙を二つ折りにしてパンフレットを作成しました。
最近では、治療食の宅配サービスなどを活用されている方もいらっしゃいます。そういった情報を盛り込むと、より良いパンフレットになります!
いよいよ今週退院……
退院の数日前、教員や病棟の看護師さんにアドバイスをもらいながら、どうにか退院指導パンフレットが完成。さて、Aさんはどんな反応でしょうか……?

こうして、メディ子のAさん専用パンフレット作りは続くのでした。みなさんも、『レビューブック2023』を使って退院指導パンフレット作成にチャレンジしてみてくださいね!
