看護実習中の学生さんや、臨床現場に入りたての新人看護師さん、日々の経過記録に困っていませんか?
この記事では、経過記録のSOAP形式での書き方やでコツをたっぷり紹介します!良い例・悪い例どちらも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください!

▶動画(YouTube)で解説を見たい人はコチラから!

 

まずは経過記録の4種類をおさえる!

経過記録をうまく書けるようになるための第一歩として、まずは「何の」経過記録があるかをおさえましょう!
そもそも看護記録とは「看護実践の一連の過程を記録したもの」と日本看護協会は示しています。この看護実践は、言い換えれば「看護師の業務」ですね。「看護師の業務」は、保助看法律で定められているように「療養上の世話」と「診療の補助」があります。
経過記録には、この2つの業務についてそれぞれ記録を書くわけです。
これをもう少し具体的にしてみると、次の4つの記録に分けることができます。

 
「療養上の世話」に関するものが①看護計画に基づく介入の記録・②看護計画に基づかないケアの記録、そして「診療の補助」に関するものが③患者さんの病状観察の記録・④医師の指示に基づく処置・投薬の記録に該当します。収集した患者さんの情報は、これら4つに整理して内容ごとに記録を書き分ける必要があるんです。それぞれの記録の詳細はリンクからチェックしてくださいね!
 

SOAPの基本的な書き方

SOAP(ソープ)とは、看護記録を書く際の書式の1つです。この記事では4つの経過記録について、それぞれ書き方を解説しますが、どの記録でも次の内容は守るようにしてくださいね!

※1 バイタルサインなどは、重複記載を避けるため、フローシートに記録されていれば、経過記録には記録しない場合もあります。それぞれの施設の基準に従ってください。
 

①看護計画に基づく介入の記録 の書き方

看護計画に基づく介入の記録は、看護過程のステップ「看護介入の実施」に対する「評価」を書きます。
この「看護介入」というのは、患者さんの看護問題に対して立案した看護計画に基づいて実施した介入を指します。例えば、「#1 便秘」の記録、「#2 肥満」の記録などです。言い換えれば、この記録は患者さんの個別的な看護問題についての記録です。次に解説する②看護計画に基づかないケアの記録は、患者さんの個別的な看護問題によらないケアなので、注意しましょう。
▶看護過程「看護介入の実施」の解説動画はコチラ
▶看護過程「評価」の解説動画はコチラ

看護計画に基づく介入の記録を書く際に、SOAPぞれぞれの項目に書くことは次の通りです。

ポイント① アセスメントするのは「患者さんの反応の変化」

この記録では、「患者さんの反応の変化」をアセスメントします。
看護過程の最初、アセスメントのステップでは、ゴードンのアセスメントの枠組み(機能的健康パターン)やヘンダーソンの14の基本的欲求などを使って「患者さんの反応」に問題がないかを解釈・分析し、看護問題を抽出しました。
そのあとの流れは、その看護問題に対して(看護診断し、)目標設定→計画立案→実施→評価でしたよね。つまり、この記録では、この「患者さんの反応」が、あらかじめ設定した目標や成果にどれくらい近づいているかという視点が大切になります。また、目標を達成できた要因あるいはできなかった要因は何かを考えることも、次の計画修正案を考える際や他の患者さんの看護計画を考える際に非常に有用なので、これも明らかにしておく必要があります。

▶「患者さんの反応」の解説動画はコチラ

ポイント② 看護問題ごとに記録する

この記録は必ず「看護問題ごとに」書きます。その看護問題がどう変化しているか、つまり、その看護問題が解決に向かっているかどうかを考える必要があるためです。記録に見出しとして「#1 肥満」というように看護診断名を記載するとよいでしょう。
様々な問題についての情報を一つの記録として書いてしまうと、何の問題に関する情報やアセスメントなのか分かりにくくなってしまうので注意です!

ポイント③ S・Oデータは看護計画の観察計画(O-P)に基づく

SデータとOデータは、看護計画で立案したO-Pに基づいて情報収集を行います。例えば、「便秘」に対する看護計画のO-Pに「水分摂取量」があれば、水分摂取量の情報が必要になります。一方で、看護計画のO-Pに「バイタルサイン」がなければバイタルサインを書く必要はありません。
看護介入の実施前後にかけて観察した患者さんの情報を何でもかんでもすべて書く!というわけではないのです。

ポイント④ AとPは「評価」と同じ

AとPは、看護過程の最後のステップ「評価」で行うことと同じ内容です。つまり、看護過程における「看護介入」の実施に対する「評価」を書きます。「評価」でやることは、①目標・成果への到達度判定、②達成度に影響を与えた要因の特定、③看護計画の終了・継続・修正、この3つでしたね。こちらも解説動画があるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

▶看護過程「評価」の解説動画はコチラ

ここまでのポイントをふまえつつ、具体的な記載例を見てみましょう!
今回は、肺炎で入院し、「便秘」という看護問題(根拠となった情報:週3回未満の排便・便が硬い、原因:水分摂取量の不足)がある患者さんを例に、水分摂取を促すための教育計画(E-P)と観察計画(O-P)を実施した際の記載例を作っています。

 

Sデータの記載例:①看護計画に基づく介入の記録 の場合

Sはこう書く!①患者さんの言葉を書く

3つのSデータが書かれていますが、どれも患者さんの発言をそのまま記録することができていますね。

Sはこう書く!②看護計画のO-Pに基づく情報を書く

Sデータの欄には、看護計画で立案したO-Pに基づいて得られた患者さんの発言を書きます。今回の例は、「便秘」という看護問題に対する看護計画のO-Pに「排便習慣の改善方法に関する理解度」や「水分摂取に関する言動」などの項目が立案されている場合です。Sデータだけでなく、Oデータも同じようにO-Pに基づいて情報を記載してくださいね。「患者さんの反応の変化」を評価するのに関係ないデータ(=あらかじめO-Pとして立案していないデータ)は不要!ということを頭に入れておきましょう!

Sデータの記載NG例:①看護計画に基づく介入の記録 の場合

こんなSはNG!①看護師の解釈が入っている

Sデータには患者さんの発言を記録するため、その発言について看護師が解釈したこと(今回は「理解できている」の部分)を記録するのはNGです。

こんなSはNG!②該当する看護問題と関連しないデータ・看護計画のO-Pに基づかないデータ

「便秘」と関連しない情報、そしてあらかじめ立案した看護計画のO-Pに基づかない情報は不要です。繰り返しになりますが、看護計画に基づく介入の記録では、看護計画のO-Pで立案された項目に沿って情報収集を行う必要があります。そもそもO-Pは、この次のアセスメントで看護問題を評価するために立案したものなので、それ以外の情報を記載しても、アセスメントに活かせない情報になってしまうはずなのです。

 

Oデータの記載例:①看護計画に基づく介入の記録 の場合

Oはこう書く!①客観的・具体的な表現で書く

自分が観察したことについて、事実を客観的に、具体的に表現することができています。また、スケールなどを用いることで、医療者間で共通認識しやすくなります。今回の記載例にある腸蠕動音について記録する際、正常・亢進・微弱などと記載することは、看護師の解釈つまりアセスメントになるため、聴診した結果をそのまま記載しましょう。

Oはこう書く!②実施した看護介入を明確に!

あらかじめ立案した看護計画のうち、どの介入を行ったのか分かるように記載しましょう。もし看護計画のO-P、C-P、E-Pに通し番号をつけていれば、記載例のように番号で記載しても良いでしょう。

Oはこう書く!③看護計画以外で実施した介入も書く

看護計画以外に実施したケアや指導がある場合は、それも漏れなく記載しましょう。記録に書かれていなければ「実施していない」「観察していない」ことになってしまうので注意です!

Oはこう書く!④介入前後の状態を書く

アセスメントでは、SデータとOデータから介入前後の変化を考えていきます。そのため、介入前のデータ、介入後のデータがないと適切なアセスメントをすることができません。前日までの経過記録もふまえて、介入前後の患者さんの状態を客観的に記録することが大切です。「改善した」「悪化した」などの記載はアセスメントなので、ここはあくまでも変化を示すデータだけにとどめておきましょう。

Oデータの記載NG例:①看護計画に基づく介入の記録 の場合

こんなOはNG!①曖昧な表現

「正常な便」だと具体的にどんな便なのかイメージしづらく、客観性・具体性がありません。昨日と比べてどうか、というように、日々の変化を細かく評価することができません。アセスメントでは、設定した目標にどれぐらい近づいているのかを評価し、その評価結果をもとに再び看護計画を修正したり終了していくため、「どう変化したのか(どのように良くなっているのか/悪くなっているのか)を具体的に示すこと」が非常に重要なのです。

こんなOはNG!②アセスメントになっている

客観的な事実ではなく、看護師の思考が含まれたアセスメントした内容となっています。データ(事実)と解釈は別物である!ということを常に意識しましょう。

こんなOはNG!③実施した看護介入の内容が分からない

実施した指導の内容が明確に書かれておらず、具体的に何の説明をしたのか伝わりません。第三者が読んで介入内容を明確に分かるよう心がけましょう!

こんなOはNG!④該当する看護問題と関連しないデータ・看護計画のO-Pに基づかないデータ

介入中の患者さんの様子ではありますが、看護問題と関連しないデータ、つまり看護計画のO-Pに基づかないデータです。この情報はアセスメントに活かすことができません。SデータとOデータに書く内容は、介入中に得られた患者さんのデータ全てを記録すればいいという訳ではなく、看護師がO-Pに基づいて取捨選択しなければいけません。
また、看護問題についての情報と疾患に関する情報が混ざっていると、何についての記録か分からなくなるので注意しましょう。

こんなOはNG!⑤アセスメントに必要なデータが不足している

患者さんの介入前後の情報がないと、目標や成果に対して患者さんがどれぐらい変化しているのかをアセスメント(評価)することができません。今回の例では、便秘改善に向けて指導を行っていますが、記録には、指導後の患者さんの情報が不足しています。今回の場合、成果として「水分摂取量の増加」を設定しており、この成果を達成したか評価するのに、介入後のデータとして、指導後のデータが必要なのです。SとOには、介入前後の変化に関するデータを書く!と覚えておけば、どんな記録にも対応できるでしょう。

 

A(アセスメント)の記載例:①看護計画に基づく介入の記録 の場合

Aはこう書く!①必ずSとOに書かれているデータを根拠に書く

これはどんな記録のアセスメントを書く際にも共通して言えることですが、A(アセスメント)に書かれた解釈・分析・判断内容は、必ずその前に書いたSデータをOデータに根拠が書かれている必要があります。もしアセスメントを書きながらデータ不足であることがわかったら、その都度データ収集してSとOに記載するようにしましょう。

Aはこう書く!②介入前後で患者さんはどう変化したか

Aはこう書く!③目標・成果にどれくらい近づいているか

Aはこう書く!④目標・成果が達成できた/できなかった要因は何か

この記載例には、アセスメントに必要な3つの視点が全て含まれています。また、患者さんの看護問題(今回は便秘)にしぼって言及することで、患者さんの看護問題がどのように変化したか、あらかじめ設定した目標・成果に近づいているかどうかが分かる記録となっています。

また、アセスメントは「~と考える」「~とうかがえる」などの表現を用いるとよいでしょう。「~だと思う」「~な気がする」といった曖昧な表現はNGです。

A(アセスメント)の記載NG例:①看護計画に基づく介入の記録 の場合

こんなAはNG!①アセスメントに必要な3つの視点がない

アセスメントに必要な3つの視点がどれも含まれておらず、患者さんが目標・成果に近づいたかどうか分かりません。収集したデータが適切かどうか解釈するだけでは、アセスメントとして不完全なので注意です!

こんなAはNG!②看護師の感想になっている

アセスメントには看護師の感想は不要です。

こんなAはNG!③データがないのにアセスメントを書いている

上記のOデータでは、介入(この例では水分摂取についての指導)後の情報がありませんでした。したがって、患者さんが指導内容を「理解できている」とアセスメントするには情報が不足しているのでNGです。

こんなAはNG!④患者さんを尊重しない表現

患者さんを尊重しない表現は適切ではありません。看護記録を読む人に不快感を抱かせてしまいます。

こんなAはNG!⑤該当する看護問題に関連しない内容

SOAPは患者さんの問題ごとに書いていく記録形式のため、看護問題に関連しない情報やそれに関するアセスメントは書きません。もし仮に、実際にDさんの認知機能の低下が考えられる場合は、新たに明らかになった問題として、便秘とは別に記録することになります。
加えて、このようなアセスメントをするには、根拠となる情報が十分ではなく看護師の憶測が含まれているため、適切ではありません。

 

P(計画)の記載例:①看護計画に基づく介入の記録 の場合

Pはこう書く!看護計画の今後の方針や修正点を明確に

看護計画を修正して継続する場合は、どの計画をどのように修正するのか、分かりやすく記載します。
看護計画を継続し、かつ計画に特に修正すべき点がない場合は「計画を継続する」、看護計画を終了する場合は「(目標を達成したため・本日退院のため等)計画を終了する」と記載します。
修正点がないからといって空欄はNGです!

P(計画)の記載NG例:①看護計画に基づく介入の記録 の場合

こんなPはNG!①看護計画の方針が不透明

看護計画を継続するかどうか、といった今後の方向性が明確になっていません。

こんなPはNG!②看護師の抱負になっている

看護師の抱負は看護記録には不要です。