こんにちは、メディックメディア編集部です。
このコーナーは、メディックメディア編集部に寄せられる読者の皆さんの質問をもとに
国試に役立つ看護の知識をご紹介していきます。

悪性新生物、死亡数(死亡率)と年齢調整死亡率で死因順位が変わる?!

「『レビューブック2020』社-11の部位別の死亡数と年齢調整死亡率で、死因順位が変わるのはなぜですか?」というお問い合わせをいただきました。

『看護師・看護学生のためのレビューブック2020』社-11
厚生労働省:平成29年人口動態統計より


ご指摘のとおり、死亡数と年齢調整死亡率の死因順位を比べると、順位が異なっていますね。
例えば女性の死因順位をみると、死亡数では第5位の乳房が、年齢調整死亡率では第1位になっています。
なぜこのような現象が生じるのでしょうか?

その理由を理解するために、3つの死亡統計の指標についておさえておきましょう。

死亡数、死亡率、年齢調整死亡率の違いをおさえよう

日本の人口動態統計における死亡の統計には、①死亡数、②死亡率粗死亡率)、③年齢調整死亡率の3つの指標があります。

1つずつ解説していきましょう。

①死亡数ってなに?
死亡数とは、1年間にその疾患で亡くなった人の数です。
『レビューブック2020』の「▼性・部位別悪性新生物の死因順位(死亡数)」は、亡くなった人の数が多い順に並んでいることがわかります。

②死亡率ってなに?
死亡率とは、全人口のうち、1年間にその疾患で亡くなった人の割合です。死亡率は粗死亡率とも呼ばれます。
『レビューブック2020』に死亡率による死因順位の掲載はありませんが、死亡率はその疾患で亡くなった人の数を全人口で除した値なので、①の死亡数による死因順位と同じ順位になります。

③年齢調整死亡率ってなに?
年齢調整死亡率とは、年齢構成による影響を取り除いて算出した死亡率です。

②の死亡率は、集団の年齢構成による影響を受けてしまうため、異なる集団間の比較や、同じ集団の異なる年次の比較はできません。
一方、③の年齢調整死亡率は、年齢構成による影響を取り除いているため、国際的な比較都道府県間の比較同じ集団の異なる年次の比較に用いることができます。

死因順位が変わったのは、年齢構成の影響を取り除いたことが原因だった!

それでは、最初の表「▼性・部位別にみた悪性新生物の死因順位」をもう一度見てみましょう。
日本での死亡数の死因順位は、年齢構成の変化(高齢化)の影響を受けています。そのため、悪性新生物のなかでも高齢になるほど増加する大腸癌、肺癌などの悪性新生物が上位になります。

一方で、年齢構成の影響を取り除いた年齢調整死亡率の死因順位は、若年層(30歳代~50歳代)に多い乳癌が上位になるのです。
これを裏付けるように『レビューブック2020』P-34正文②には乳癌の好発年齢について「罹患率は30歳代から増加し,40歳代後半~50歳頃にピークを迎え,60歳代後半から次第に減少する」とあります。

このように、年齢調整死亡率をみることで、年齢構成の変化の影響を受けずに死亡原因の変化などを比較することができるのです。

国試ではどの指標も出題される可能性あり!

悪性新生物の死因に関連した統計問題は、過去99〜108回の看護師国家試験をみると、必修問題4問、一般問題4問と頻出であることがわかります。108回でも男性の悪性新生物による死亡数の第1位を問う問題が出題されたばかり。今後も継続して問われる可能性が高いでしょう。

ここで第102回看護師国家試験の午後32番を見てみましょう。
(統計数値は平成21年→平成29年に改変)
【問題】
日本の平成29(2017)年の人口動態統計における悪性新生物に関する記述で正しいのはどれか。
1.死因別順位は第2位である。
2.年間死亡者数は約80万人である。
3.部位別にみた年齢調整死亡率は,男性では胃が最も高い。
4.部位別にみた死亡者数は,気管,気管支および肺が最も多い。

【解説】
×1. 日本の平成29(2017年)の人口動態統計によれば、悪性新生物の死因別順位は第1位である。
×2. 日本の平成29(2017年)の人口動態統計によれば、悪性新生物の年間死亡者数は37万3千人である。
×3. 部位別にみた年齢調整死亡率は、男性では気管、気管支及び肺が最も高く、次いで胃が高い。
○4. 部位別にみた死亡者数は、気管、気管支及び肺が最も多く、次いで胃が多くなっている。

正解は、4.ですね。


統計は、その統計数値の意味の読み取り方によっては、情報を誤って受け取ってしまう可能性があります。
国試では死亡数、死亡率、年齢調整死亡率といろいろな問われ方をするので、何を問われているのかに注意して解きましょう。