——看護の道に進もうと思ったきっかけは?

 私が高校の看護科を選んだのは、普通科に入りたくなかったからです。普通科に入ってみんなと同じように数学とか学んだところで、絶対使わないだろうなって。それより医学系とか人体とか薬理とかのほうが自分のためになる気がした。自分にとって無駄なことを選ぶより、必要なことを学ぼうと。看護は勉強しておいても無駄にならないし、もともと人体の解剖や生理が好きだったし…人と接するのも嫌いじゃなかったから、自分に向いている気もした。それでこの道を選んでみました。でも将来看護師になりたい! って明確に思っていたわけではなくて。やってみて自分に合わなかったら高校を卒業して他の道にいけばいいや、っていう感じです。

——実際に学校に通ってみてどうでしたか?

 実際、高校に通ってみて勉強も面白く思えたし、楽しかったです。実習もそんなにきつくなかった。高校を卒業して短大に行ったあとの2年間は…整形外科の実習が人生で1番つらかった。病院名を思い出すだけで辛くなってくる(笑)
 実習担当の学校の先生も、看護師さんもどっちも厳しいから逃げ場がないんです。代々、この科はヤバいって聞いてたんですけど、ここまでか…という感じでした。「それで看護師になれると思ってるの?」とか「今までなにしてきたの?」とか言われて、かなりけちょんけちょんにされましたね。「なんでそこに立つの?」とか(笑)。整形の科だったから、看護師の立ち位置はもちろん大事なんですけど、その言い方…っていう。

——大変な実習、どう乗り越えたのでしょうか?

 事前学習でいかにつっこまれないかを徹底していて、不眠不休でした。最初に目をつけられるとどんどんつっこみが厳しくなってくるのが分かっていたので、「根拠の根拠」まで答える勢いで用意していきました。これを経験したおかげで勉強にはなりましたけどね。
 看護学生さんで、実習のコツに迷ってる人がいたら、とにかく第1印象が大事と伝えたい。最初に「こいつダメだ」って思われたらアウト。知識が足りないのはしょうがないので、やる気を見せる。黙っていると良くないから「勉強してきます!」と。あとは「根拠の根拠」まで事前に読み返して答えられるようにすることかな。

——現在は精神科で働いているということですが、「精神科」を選んだ理由は?

 実習で1番自分が興味を持てて楽しかったのが精神科だったんです。もともと心理学などの精神分野が好きだったというのもあります。精神科に入院している患者さんって幻覚や妄想で頭の中がまとらなくて、混乱してるし、現実の世界にいない感じ。でも薬剤や環境によってだんだん良くなっていくと、一般社会に戻れるくらいになって、その過程で目に見えて良くなっていく。その過程に看護師としての役割の大きさを感じたんです。それで精神科に入ろうと決め、今も精神科で働いています。

——看護師のほかにもいろいろな活動をされているということですが…

 短大に通ってたときからやっていたコスプレやモデルの活動はずっとやっています。スイーツのブログは10年ぐらいやってますね。去年から干し芋を広める活動もしています。いろいろスイーツを食べ歩いてて行きついたのが、何も加工してないのが1番だって思い、干し芋が大好きになったんです。本を出版したりイベントをやったり。たまにテレビ出演の話が来るけど、だいたいコンビニスイーツなんですよね。私は干し芋で出たい! って言うと、絵的に地味だからって理由で断られましたけど(笑)。
 正直、何をやっているの? っていろんな人から聞かれて困ってしまうんですが、興味があることをやっているだけですよ。看護師は趣味を持つことが大事です。看護師の仕事だけだとやっぱりストレスが溜まってしまいますからね。私は仕事が全てという考えではないので、好きなことを仕事以外にもやる。忙しいけど、それで食べていこうっていう思いもないので、ちょっと度が過ぎた趣味みたいな(笑)。 こういう活動をしていると、いろんな人に会えて楽しいですよ。自分がいる世界とは全然違う世界で生きてる人に会える。いろんな友達が増えていくので自分の世界が広がるのが楽しいんです。

——看護師の仕事と、それらの活動の共通点ってどんなことでしょうか。

 いろんな人がいるという点に共通点があるのかもしれないです。私が精神科に興味を持っているのはそこかもしれない。精神科って怖いというイメージを持っている人も多いと思うんですが、私はむしろいろんな人がいることが興味深くて、実習のときからそれを楽しめてました。絵がうまかったり、ポエムがうまかったり、芸術面で才能豊かな人が多くて、感性が豊か。具合が悪くなったりいろんな事情で生活ができなくなってしまって入院せざるを得なくなってしまうところは、若干みんなと違うのかもしれないけど、そういう部分の折り合いをつけながら楽しそうに過ごしているのも私は面白いなと。あと、みんな見ている世界が違うんですよね。そういう人たちとお話をするのも私は好きなんです。

——そんな精神科病棟で大変だったことはありますか?

 もちろん心をえぐられることもありますよ。患者さんから想像を超えるような傷つく言葉を言われることもあります。そのたびに、自分を振り返ります。患者さんのことを考えると同時に、自分の内面も考える必要がある。相手のことを知るうえで、自分がその人とどう接していかないといけないか、ということを患者さん一人ひとりに対して考えるかが大切だと思っていて。精神科の患者さんに対しては、やはり一筋縄ではいかないので。フレンドリーに接して欲しい人もいるし、へりくだらないと話を聞いてくれない人もいるし、指導的に関わらないといけない人もいます。

——患者さんとの向き合い方について、ナマダさんが大切にしていることを教えて下さい。

 患者さんの内面に踏み込んでいかないといけないのは、やっぱり難しいですけどね。入院に至った経緯とか、退院後のこと…例えば家庭環境や勤務先のことと、それらのなかで患者さんが嫌だったこと。もちろんプライベートなことも聞かないといけない。患者さんの立場になって考えたら、信頼関係を築けていない看護師にこういうことを話すなんて、ものすごくストレスなんですよね。だけど看護師はそれを聞いていかないと、ケアに繋げられない。私が患者さんに質問しても、言いたくなくて教えてくれない患者さんももちろんいます。そういうときは、なんであなたのことを知りたいのか、あなたが良くなっていくために知りたいんだ、ということを伝えます。そして何より大事なのは、本気で患者さんに興味を持つこと。こちらが患者さんを信じてあげないと、患者さんから信じてもらえないですから。あなたのことを本気でよくしたいと思ってる、だからあなたのことを教えてくださいね、という真摯な気持ちがないと、患者さんに伝わらないんです。人に対して興味や関心を本気で持たないと、ダメだなって。あと、分け隔てなく、先入観を持たずに広い気持ちでみることも大切じゃないかな。

——いろいろなことに好奇心旺盛なナマダさんですが、今後やってみたいことは?

 私、あと20年ぐらいしたら、オタク向け老人ホーム作りたいんですよね。施設のマンガや同人誌の品揃えがすごくて、アニメ鑑賞会したりとか。レクリエーションで折り紙折るんじゃなくて、ガンプラ作ろうよっていう。絶対アドレナリン出て、脳が活性化しますから。美少女フィギュアをおじいちゃんたちが作ってるの、たまらなくないですか。腐女子向けのグループホームとかもいいかも(笑)。絶対需要あると思いません? 私そこで看護師やりますから!

——ナマダさん、沢山のお話を聞かせてくださり、どうもありがとうございました!

(インタビュアー:メディックメディア編集部、カメラマン:都鳥 圭太)

ナマダさんprofile

 

千葉県生まれ。高校看護科から短大看護科に通い看護師になる。現在は、精神科で看護師として働く一方、スイーツブロガーやコスプレイヤー、モデルなど様々な側面を持つ。好きな食べ物は干し芋とカレー。

ナマダさんSNS情報

Twitter@namada00 https://twitter.com/namada00
Instagram@namada00 https://www.instagram.com/namada00/
ブログ メタボギア http://namabolic.blog.jp

 

【おまけ】 ナマダさんに、学生時代の実習レポートを持ってきていただきました!いくつかご紹介します。イラストがかわいいうえに、わかりやすい…!