[著者紹介]

ベテランナース M.U
ナース歴17年、救急から慢性期まで多くの経験を持ち、新人や学生の指導役も
務めたベテランナース。米国看護師試験NCLEXにも合格。気を抜くと関西弁になる。


こんにちは、M.Uです。2回に分けて、アルコール依存症患者さんへの看護について書きたいと思います。

アルコール依存症の治療の基本は、「断酒」です。

アルコール依存症の患者さんにとって、断酒は簡単なことではありません。
お酒の誘惑に負けてしまうこともありますし、辛い離脱症状も現れます。

しかし断酒をしない限り治癒は望めませんから、どのように断酒継続を支援していくかが看護の重要なポイントになります。(もちろん患者さん本人の強い意志が前提やで!)

実際に病棟で起きたトラブルや失敗談をいくつか挙げてみましたので、看護のポイントを学んで実習に活かしましょう!

事例1:お酒の持ち込み

実習中の学生Aさんは、アルコール依存症患者のBさんを受け持っていた。
あるとき、Bさんが電話で「酒を見つからないように病棟に持って
きて欲しい
」と友達に話しているのを聞いてしまった。
Aさんが、Bさんに「お酒を持ってきてもらってはいけないですよ」と伝えたところ、
「どうせ持ってこないから大丈夫だよ」と冗談ぽくいわれた。
AさんはBさんを信用したが、念のため担当看護師に報告をいれておいた。

その二日後、Bさんの友人が病院へお見舞いにやってきた。
友人は、水が入ったペットボトルを持っていたが、
事前に学生から報告を受けていたため担当看護師はもしかしてと思った。
患者の了解の元にペットボトルの確認を行うと、中身は水ではなくお酒であった。

ワンポイントアドバイス

この事例では、Aさんが事前に担当看護師へ報告をしていたため、飲酒を未然に防ぐことができました。
アルコール依存症の患者さんは、ときとして欲求をコントロールできなくなり、飲酒するための計画を練ることもあります。普段から何気ない会話や行動に気を配っておくと、この事例のように飲酒を防ぎやすくなります。
ささいなことでも、気になったことがあれば担当看護師へ報告するように心がけるとよいかもしれません。

事例2:患者家族の疾患への理解不足

実習中の学生Cさんは、アルコール依存症にて入院中の患者の妻に「お酒一杯くらい大丈夫だよね。一杯に減らせたらすごいことだと思わない?私と晩酌もできないなんてかわいそうだよ。」と同意を求められた。
アルコール依存症では断酒が絶対だが、患者の妻は疾病への理解が不足していた。
また、「看護師は厳しくてダメだって言うのよ」という発言もあった。たしかに、看護師には「飲みませんよ」と妻が言っていたのをCさんは聞いていた。
その後受け持ち辛くなるのは分かっていたが、担当看護師へ妻の発言を報告した。

ワンポイントアドバイス

アルコール依存症患者の断酒や退院後のサポートには、家族の協力が必須です。そのため家族には、疾病を理解し協力してくれるよう、わかりやすく説明し教育する必要があります。
この場合Cさんが、妻の言葉を看護師へありのまま伝えたことで、妻に疾患への
理解が不足していることが分かりました。みなさんも、患者だけでなく家族など周囲の人が治療に協力的であるか、気を配れるようにしましょう。
また、単に疾病の理解を進めるだけではなく、家族にストレスが蓄積している場合、思いを聴取しカウンセラーやセルフケアグループなどに促していくなどのケアも重要です。

後編はこちら!


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