[著者紹介]

ベテランナース M.U
ナース歴17年、救急から慢性期まで多くの経験を持ち、新人や学生の指導役も
務めたベテランナース。米国看護師試験NCLEXにも合格。気を抜くと関西弁になる。


こんにちは、M.Uです。記念すべき第一回は、認知症患者さんに関わる際のポイント(看護国試にも出てる内容やで!)についてお話します。

私がまた駆け出しの新人ナースだった頃の話ですが、
毎日決まったくらいの時間に、ナースステーションの入口へ顔を出す認知症患者のAさんがいました。Aさんは、ナースステーションまで来ると毎回きまって
「エビフライ定食お願いします」
「エビフライ定食まだかね?頼んでおいたはずだけど」

などと看護師に話しかけるのです。

ある日、Aさんが私に話しかけてこられたので、「ここは食堂じゃないですよ。エビフライ定食は作れません。何を言っておられるのですか?」と返答しました。
すると、Aさんはその返答が気にいらなかったのか「あんた人を馬鹿にするな。客が注文しているのに断る気か」と怒ってしまい、私は、じゃあなんて返せばいいのよ…とモヤモヤしながら過ごしていました。

あるとき、Aさんが同じように『エビフライ定食お願いします』と話しかけてきたときに、先輩看護師が『Aさん、今日は残念ながらエビフライ定食は売り切れたんですよ。人気がある定食だからね。せっかく来てくれたのにごめんなさいね。また来てくださいね、部屋まで送りますよ』と答えました。するとAさんは穏やかな表情になり、『ありがとうね。また来るね。ここの食堂はおいしいから』と答えました。
私はそのとき、自分がやっていることは、ただ患者さんの言葉を否定していただけだったことに気づきました。

ワンポイントアドバイス

認知症の患者さんなどから事実ではないことを言われても、むやみな訂正や否定をしないようにしましょう。患者さんにとってはそれが真実なので、発言を受容し、肯定・尊重した態度をとることで安心感を与えていくことが大切です。これはとても大事なことなので、看護師国家試験でも繰り返し問われています。

看護国試にチャレンジ!

次の文を読み問いに答えよ。(第105回看護師国試 午後102番)
Aさん(81歳、女性)は、6年前にレビー小体型認知症dementia with Lewy bodiesと診断された。Aさんは雨の中を1人で外出して自宅に戻れなくなり、同居している娘に発見された。その夜、娘が話しかけたときのAさんの反応が鈍くなったため、かかりつけの病院を受診し、細菌性肺炎bacterial pneumoniaと診断され入院した。呼吸器疾患の既往はない。
入院後7日、症状が軽快し明日退院することが決まった。消灯前にAさんが部屋にいないため探すと、小刻みにすり足で歩いているところを発見した。看護師がどうしたのか質問すると「そこに小さい子どもがいるので見に行きたい」と、思いつめた表情で話した。このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1.転倒の危険を説明する。
2.行きたい場所へ付き添う。
3.子ども時代の思い出を尋ねる。
4.子どもはどこかへ行ってしまったと説明する。

解答:2
×1 Aさんは子どもに意識が向いているため、転倒の危険性を説明しても聞き入れてもらえない可能性が高い。
○2 行きたい場所へ付き添うことにより、患者は安心することができる。また、消灯前というタイミングを考慮し、転倒を予防するためにも付き添うことが適切と考えられる。
×3 子ども時代の思い出をたずねることは、コミュニケーションをとるうえで有効な場合もある。しかしAさんが話を聞いてもらえないと感じてしまうと、自尊心を傷つけることになりかねないため、ここでの対応としては適切ではない。
×4 Aさんに子どもが見えているのであれば、どこかに行ってしまったという説明は否定にあたる可能性があるので適切ではない。


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