秋山あんじぇら(あきやま・あんじぇら)
福岡在住の看護大学3年生。日本肺癌学会「肺がん医療向上委員会」の学生広報大使、がん情報サイト「オンコロ」の学生スタッフを務めている。姉は医学生で、アイドルグループ「LinQ(リンク)」の元メンバー・秋山ありす。
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中西洋一(なかにし・よういち)
九州大学病院副院長、呼吸器科長、九州大学大学院医学研究院胸部疾患研究施設・呼吸器内科学分野 教授、附属胸部疾患研究施設長、日本呼吸器学会理事、日本肺癌学会理事(肺
がん医療向上委員会委員長)、日本臨床腫瘍学会理事、西日本がん研究機構理事。第57 回日本肺癌学会学術集会主宰。


医師の業務は診療だけじゃない

秋山あんじぇら(以下、秋山):インタビューを担当させていただく、看護学部3 年生の秋山あんじぇらと申します。よろしくお願いします。

中西洋一医師(以下、中西):九州大学呼吸器内科の中西洋一と申します。肺がんを中心とした呼吸器疾患や、がんの薬物療法を専門にしています。よろしくお願いします。

秋山:医師は、医療・介護において中心的な役割を果たしていると思うのですが、実際の業務について教えてください。

中西:ご存知のとおり、医師の業務の中心は病気の診断と治療で、患者さんに最良の医療を提供するために、医療者を率いるリーダーのような役割を担っています。また、治療だけではなく、禁煙指導などによって病気を予防することも重要な仕事です。

秋山:患者さんの診察・診療以外には、どんな業務がありますか。

中西:将来の医療を担う医学生の教育、がんの発生メカニズムなどの基礎的研究、がん治療の有効性を検証する臨床研究などの業務があります。このほか、肺癌学会学術集会の会長などの社会的な活動も行っています。

看護師にしかできない役割がある

秋山:では、医療・介護における看護師の役割について、中西先生はどうお考えでしょうか。

中西:医師と看護師は診療を進めるうえでのパートナーであり、薬剤師、メディカルソーシャルワーカー(MSW)などと同様に、適切で十分な医療を提供するための重要な役割を担っています。

秋山:「医師と看護師の連携」という点で、大切なことは何でしょうか。

中西:患者さんの情報を医師と共有するということでしょう。「医師には話せないけれど看護師には話せる」という患者さんは少なくないので、医師には知ることができない患者さんの気持ちや問題などを教えてほしいです。

秋山:なるほど。私も病院実習のときに、患者さんから「先生には言えないんだけどね〜」と、話してもらったことがあります。これまでの臨床経験のなかで、「看護師がいてよかった」と感じた出来事はありますか。

中西:医師は、患者さんの生命に関わる事柄、たとえば、私の専門であるがんの診療に関して言うと、白血球の数値、生命維持に必須な臓器(肺、腎臓、心臓など)の検査結果などには、最大限の注意を払います。一方で、痛み、だるさ、吐き気といった生命には影響しないけれど、患者さんが不快に思う症状や副作用については多少鈍感になってしまいます。これらについて、看護師さんが注意深く観察してくれたり、患者さんの生活習慣や性格などについて聞き出してもらえることがありがたいですね。患者さんに一番身近な存在である看護師にしかできない役割だと思います。


秋山:反対に、「看護師にもっとこうしてほしいな」と思うことは何でしょうか。

中西:情緒には走ってほしくないということでしょうか。患者さんに共感することはもちろん大切ですが、感情に流されてしまうと医療者として正しい判断ができなくなることもあるので、冷静に行動してほしいと思います。

勉強以外に一生懸命に打ち込めるものを

秋山:中西先生の学生時代のご経験を踏まえて、学生のうちにやっておいたほうがいいことはありますか。

中西:学生の本分はもちろん勉強です。しかし、それだけでは十分ではありません。クラブ活動やボランティア活動など、何か一生懸命に打ち込めるものをもつことが大事です。このような経験は、人としての幅や視野を広げます。それは今後、さまざまな立場や年代の人と一緒に仕事をし、患者さんへ医療を提供するうえで活かされるはずです。私も学生時代は、遊びも含めていろんな経験をしました。後悔しているのは、あまり勉強しなかったことでしょうか。今でも試験の夢を見ますよ(笑)。

つらいときは「なぜこの道をえらんだのか」を思い出して

秋山:私たち看護学生に期待することはありますか。

中西:チーム医療を意識して看護師としての専門性を深めること、自らブラッシュアップして力をつけること、この2つに期待しています。そうすれば、目の前の患者さんに、最良の医療を提供できる看護師になれると思います。それから、看護学生や看護師向けの無料セミナーもたくさんあるので、積極的に参加してほしいですね。私が主宰する第57回日本肺癌学会学術集会の文科会(11月6日、福岡)でも、医療従事者向けの無料セミナーを開催するので、ぜひ足を運んでください。

秋山:私も広報大使として参加するので、学生のみなさんの参加をお待ちしています。最後に、看護学生にメッセージをお願いします。

中西:近年の医療の進歩は目覚ましく、医師だけでは良質な医療を提供できないので、看護学生の皆さんに期待しています。医療現場は大変なことがたくさんあります。患者さんとのやりとりや、職場内の人間関係で悩むこともあるかもしれません。そんなときは、なぜこの道を選んだのかを思い出し、「5年後にこうしていたい!! 」というような夢や目標をもって、乗り越えていってほしいと思います。

秋山:本日は貴重なお話をありがとうございました!!